プロミディア合同会社の斉藤です。
5/19にプロエンジニアフォーラム2018のプレゼン審査のため、東京にあるPE-BANK本社にお邪魔してきました。
11人中4人がフォーラムで登壇できる審査です。
後日、結果発表があり、私は残念な結果となってしまいました。
そこで、けっこう時間かけてつくった資料なので、原稿とともにここに残しておくことにしました。
ちなみに今回のパワーポイント資料を作成するにあたり「一生使える見やすい資料のデザイン入門」という本を購入しました。
良いスライドと悪いスライドが対比で掲載されており、見てすぐに効果が出る本でした。
タイトル

みなさんこんにちは。北海道支店の斉藤と申します。
本日は発達障害の子と共に生きるというテーマでお話しさせていただきます。
みなさんは発達障害がどういうものかご存知でしょうか?
私には現在4歳の子供がいます。
一見すると普通の子供です。
しかし、2歳のときに発達障害であると診断されました。
私はそれまで、発達障害がどういうものか全く知りませんでした。
また、自閉症というものについても、聞いたことはあるけど、まさか自分が関わることになるとは少しも想像していませんでした。
発達障害とはどのようなもので、私共家族がそれにどのように向き合ったか、そして、私が会社員ではなく、PE-BANK所属のフリーエンジニアで良かった点についてお話しさせていただきます。
本日お伝えしたいこと

本日はこの3点についてお話しさせていただきます。
1.発達障害の症状
発達障害の子特有の症状についてご説明いたします。
2.療育について
発達障害であるとわかった時点で、療育に取り組む必要があります。私が行っている療育についてご紹介いたします。
3.フリーエンジニアだからできること
PE-BANK所属のフリーエンジニアだからこそ、私も積極的に子供の世話にかかわることができています。その点についてもお話しいたます。
自己紹介

まず、簡単に私の自己紹介をさせていただきます。
名前は斉藤貞義。
北海道札幌市在住です。
昨年、法人成りし、プロミディア合同会社を設立しました。
PE-BANK歴は3年3カ月で、PE-BANKと契約する前は、零細ブラック企業の正社員をしていました。
PE-BANK北海道支店の担当者様に最初にご紹介いただいた企業が自宅から徒歩10分のところにあり、大変通いやすいので現在も継続してそこの企業内でお仕事をさせていただいております。
子供の紹介

次に、私の子供についてご紹介いたします。
斉藤悠輔4歳。
市が行っている定期発達検査で2回ひっかかりました。
原因は言葉の遅れです。
そこで専門医の受診をすすめられ、2歳9か月の時、正式に発達障害であると診断されました。
診断名はASD(自閉症スペクトラム)、ADHD(注意欠如・多動症)です。
自閉症というとなんとなく根暗な子供を想像しがちですが、私の子供は、幼稚園では明るくいい子に振舞っているので、自閉症の症状を知らない人は気づかないと思います。
発達障害とは

発達障害というものについて、ご説明いたします。
図をご覧ください。
こちらの図は発達障害を解説する時によく用いられる図です。
発達障害とは、ASD(自閉症スペクトラム)、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、LD(学習障害)の3つを総称したものを表します。
図の中央部分が重なっているのにお気づきでしょうか。
これは、ASD、ADHD、LDのいずれかだけを持っていることもあれば、重複して持っているケースもあることを意味しています。
そして、これらのうち、いずれかひとつ、または複数の症状をもっていると発達障害と診断されます。
ASDは社会性の欠如、言葉の遅れ、普通とは違うこだわりといった症状がみられます。
ADHDは集中できない、落ち着きがない、衝動的に行動してしまう症状です。
LDは「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」といった能力に問題がある症状です。
私の子の場合はこれらのうちASDとADHDの症状があると診断されました。
幸いにもLDはありませんでしたので、勉強は人並みにできています。
ASDの症状

発達障害の症状について、うちの子のケースでご紹介します。
社会性の欠如
社会性の欠如という言葉ではわかりにくいですが、ようするにみんなと同じ行動が取れない、場の空気が読めないという症状です。
例えば幼稚園で先生が絵本を読むと、普通の子はそちらに向いて、話を聞きます。でもうちの子は、まったく関係なしに、違うところに行って一人で遊びます。
はたから見ると、一人だけ浮いている状態になります。
呼びかけに反応しない
2,3歳の子供は自分の名前が呼ばれたら、呼ばれたほうを見たり、返事をするなどなんらかのリアクションをします。
でも、うちの子は呼ばれたことがわかっていても、何も聞こえていないがごとくスルーすることがよくあります。
強いこだわり
親としてみていても不思議なくらい、こだわりがあります。ほんの一例をあげますと
・朝起きて、加湿器を止めたら、怒ってまたつける
・夜寝る前に、テレビ画面が一時停止の状態でないと怒る
・タクシーから降りる時、右側のドアは開かないのに、そちらから降りると言い張って、無理やり左側から降ろしたら大泣きした
・信号機が好き
傾向としては、生活全般でいつもと違うパターンがあった時にそれを受け入れるまで時間がかかるようです。
ここまでが、ASD自閉症の症状です。
うちの子はこれに加えてADHDの症状が別にあります。
ADHDの症状

突然走り出す
車を降りたら走り出すことがあります。最近は足も早くなってきているので、気を付けないとそのうち車にひかれると思います。
集中できない
・何か作業しているときに、別の気になるものが視界に入ると、そちらに全ての意識がいき、今やっている作業が中断されます。
落ち着きがない
本人が把握しているかはわかりませんが、じっとしていられないことが多いです。
スーパーや大きな家具やさんに行くと、外側の通路を何周か一人で走ります。
ADHDの症状があると、直接生命にかかわる事故につながりうるので怖い思いも何度かしました。
発達クリニックで受診

市の発達検査担当者から発達クリニックの受診を強くすすめられたこともあり、発達クリニックを受診しました。
ちなみにうちの近所の発達クリニックは大盛況なようで、予約してから診てもらうまで、4カ月待ちました。
発達クリニックでは先生に診てもらう前にまず、田中ビネー知能検査と呼ばれるIQを計る検査を受けました。
その検査の後にすぐ先生の診察となりました。
図は初めて受診した日の先生とのやり取りです。
検査結果と実際に子供をみてもらったうえで、
「診断をつけるとしたら自閉症ですね。あとADHDの症状も見受けられます。」
と診断されました。
自閉症なのは納得できたのですが、ADHDまでついたのにはいくぶん納得できなかったので、理由をたずねたところ、
「待合室で落ち着きがなかったから」と言われました。
その時は、そもそも子供なんて落ち着きがないのが普通だから誤った診かもしれないと思いましたが、日がたつにつれ、あきらかにADHDもあることが納得できました。
診断を受けた後、ここは専門の病院なので、当然なんらかの処置または療育をしてもらえるものだと思っていました。
しかし、先生からは「半年後にまた来てください。これから頑張りましょう。」とだけ言われました。
私たち家族はここにくれば何とかしてもらえると思っていたので、
療育してもらえないか食い下がったところ、
・子供は急には変わらない
・療育するにもまだ3歳になっていないので、何が必要か見えてこない
と言われ、そこで療育を受けることはできませんでした。
とにかく、せっかく受診まで4カ月待って、何もしてもらえなかったことにひどく落胆したことを覚えています。
療育のはじまり

発達クリニックには頼っていられない。
正式に発達障害と診断された以上、すぐにでも療育をはじめるべく、私たち家族は動きました。
児童デイサービス
まず、公共で受けられるものとして児童デイサービスに通わせることにしました。
当時はまだ幼稚園に入れる年齢ではなかったので、一日中家にこもるより、少しでも親以外の人と接するほうが子供にとっても良い刺激になると思いました。
ABA(応用行動分析)
当時、あさいちというテレビ番組で発達障害の特集がありました。
そのなかでABAという療育が紹介されていて、良さそうだったので、それを受ける方法がないかとネットで調べ、【つみきの会】というNPO法人がそれを行っていることがわかりました。
つみきの会というのは発達障害の子をかかえる親の会で、そこの会員になればABAの療育を自宅に訪問してもらって受けることができるのです。
ただし、民間企業のサービスであるため、保険は適用されません。
アメリカやカナダでは公費、つまり保険適用でABAを受けられるのですが、日本はその点でまだ遅れています。
でも、何もしないよりははるかにマシだと思いABAを受けることにしました。
料金は最初は週に1回きてもらう契約として、月に3万3千円くらい。
今年から週に2回きてもらうことにしたので、月に7万円ちかくかかっております。
ABA(応用行動分析)とは

ABAがどういうものかをご説明します。
図をごらんください。
まず、子供の良い行動にはご褒美を与えて強化し、その行動が増えるようにします。
その際、ご褒美は子供が好きなものなら何でもよく、家にあるおもちゃを渡したり、ほめてあげたりします。良い行動をしたあと、1秒以内にご褒美を与えるのが良いとされています。
そうすると子供はまたやろうという気になります。
うちの子は最初、爪切りで爪を切られるのをものすごくきらっていたのですが、
・まず指をもたせてくれたらご褒美をあげる
・爪切りを爪にさわらせてくれたらご褒美をあげる
・一回爪を切らせてくれたらご褒美をあげる
というスモールステップを踏むことで、苦手な爪切りを克服しました。
次に悪い行動には無視して消去することで、その行動を減少させます。
例えば、子供がふざけて食卓の椅子に立ったとします。
当然危険な行動なのでやめさせなければいけませんが、親の注意を引くのが目的だった場合、「やめなさい」と注意すると逆効果となります。
この場合に適切な対処は、それに反応せず黙って子供を抱えて椅子に座らせるという行動です。
そうすると、子供としても親が反応してくれないので、楽しくありません。そのうちその行動はなくなります。
これがABAの基本原則です。
この方法は発達障害の子に限らず、普通の子でも通用しますので、もし小さなお子さんがいらっしゃる方は一度試してみてください。
ABAの様子①

写真は実際のセラピーの様子です。
セラピーでは、セラピストと呼ばれる大人と子供が机をはさんで向かいあって、様々な課題をこなしていきます。
写真では、テーブルに置かれた箱の「前」「後ろ」「横」を教える課題を行っています。
セラピストが後ろと言って、紙切れを子供に渡します。
ABAの様子②

子供は指示された通り、箱の後ろに渡された紙切れを置きます。
ABAの様子③

指示通り成功したので、ここですかさずご褒美を渡します。
写真では携帯電話のおもちゃを渡しています。
これで行動が強化されるのです。
5秒くらい遊ばせたらセラピストはおもちゃを取り上げて、次の指示を出します。
セラピーではこのようなやり取りを部屋にこもって1時間40分くらい行います。
うちはセラピーを受け始めて2年近くになりますが、これのおかげで、目覚ましく子供は成長しました。もしあの時、ABAを受けると決断しなかったら、今頃もっと深刻な状態になっていたと思っています。
フリーエンジニアだからできたこと

現在、我が家では子供に満足な療育ができています。
そしてそれができているのも、私がPE-BANK所属のフリーエンジニアだからです。
もし、ブラック企業の正社員を続けていたら、子供の療育もできず、今頃家庭崩壊の危機に陥っていたと思います。
療育するうえでのフリーエンジニアであることのメリット
高額な療育を受けられる
先ほどご説明したABAの療育を受けられるのも、現在の収入があるからです。
正社員のときの給与では、この療育を受けられなかったと思います。
自宅で親も療育に参加できる
フリーエンジニアであれば正社員のように、労働時間を強制されることはありません。
ですので、私自身も朝と夜に子供と向かいあって勉強を教えることができています。
正社員の時は家に帰るのが夜10時過ぎだったので、これはできませんでした。
急な呼び出しにも対応できる
急に子供の体調が悪くなり病院へ連れていかなければならなくなった、
家の人が用事で子供を迎えに行けない。
といった急なときでも、正社員ではないので、気兼ねなく現場を少し抜けて対応できます。
最後に

発達障害の子が生まれる確率は15人に1人と言われています。
ですので、会場のみなさんもけっして他人事ではなく、誰にでも起こりうることなのです。
発達障害と聞くと、普通の子より劣っている、障害であるというイメージがあるかもしれません。
しかし、実際に子供と接して見てわかったのは、人より個性が強くて少し変わっている子というのが発達障害だと思います。
ここにいる私たちは会社の命令が一番に優先される会社員ではありません。
会社に束縛されないフリーランスという生き方は、たとえ子供が発達障害であっても、対処できる選択肢が正社員よりは広がります。
みなさんの生き方と同様に、子育てに関しても、誰かがなんとかしれくれるのを待つのではなく、自分から積極的に動いていく姿勢が、子供の未来につながっていくと思います。
あまりあってほしくないですが、もし発達障害のお子様が生まれたとしても、親が適切に対処することで大幅に改善するので、その時に今回の私の話しも参考にしていただけると幸いです。
本日はありがとうございました。
